片頭痛予防薬|天白区の脳神経外科|たけもと脳神経外科

片頭痛予防薬 PROPHYLACTIC-TREATMENT

片頭痛は「痛くなる前に防ぐ」時代へ

〜発作予防薬(予防療法)の種類と特徴〜

頭痛が月に何度も起きて仕事や家事が手につかない、痛み止めを飲む回数が増えて「薬物過多による頭痛」が心配...。
そんな方には、痛みが起きてから対処するのではなく、片頭痛そのものを起こりにくくする「予防療法」が推奨されます。

近年、片頭痛の予防薬は劇的な進化を遂げており、ご自身のライフスタイルや症状に合わせて多様な選択肢から選べるようになりました。
現在、当院で処方可能な保険適用の予防薬(内服薬・注射薬)について、それぞれの特徴を解説します。

予防薬選びの基本

毎月の片頭痛日数が4日以上ある際に提案させていただいております。
それ以下の片頭痛日数でも、発作により日常に大きな支障がある方にも提案いたします。
予防薬は「毎日決まった時間に飲むお薬」と「月に1回皮下注射するお薬」があります。
患者さんの頭痛の頻度、持病、妊娠のご希望、そして費用面などを総合的に考慮し、最も適したお薬を相談しながら決めていきます。

従来からある予防内服薬

昔から片頭痛の予防に使われているお薬です。
もともとは血圧のお薬やてんかんのお薬として開発されたものですが、片頭痛を抑える効果があることが分かり、広く使われています。
お薬代が比較的安価なのが特徴です。

① カルシウム拮抗薬(ロメリジン / 商品名:ミグシス )

作用機序:
脳の血管が異常に収縮・拡張するのを抑え、血流を安定させることで片頭痛を防ぎます。

効果:
効き目はマイルドですが、副作用が少なく、最初に試しやすいお薬です。

注意点:
まれに眠気やふらつき、胃の不快感が出ることがあります。

② 抗てんかん薬(バルプロ酸ナトリウム / 商品名:デパケン など)

作用機序:
脳の神経の過剰な興奮を鎮めることで、片頭痛の波が起きるのを防ぎます。

効果:
従来の予防薬の中では効果が高く、しっかりと頭痛の頻度を減らすことが期待できます。

注意点:
眠気や体重増加、肝機能の数値に影響が出ることがあります。
また、お腹の赤ちゃんに影響が出る可能性があるため、妊娠中や妊娠を希望されている女性には処方できません。

③ β(ベータ)遮断薬(プロプラノロール / 商品名:インデラル)

作用機序:
交感神経の働きを抑えることで、心拍数を落ち着かせ、脳の血管が急激に広がるのを防ぎます。

効果:
頭痛の頻度を減らすだけでなく、緊張やドキドキする動悸を抑える効果もあります。

注意点:
もともと血圧を下げるお薬のため、血圧が下がりすぎてふらつくことがあります。
気管支を狭くする作用があるため、喘息(ぜんそく)をお持ちの方には使用できません。

④ 抗うつ薬(アミトリプチリン / 商品名:トリプタノール)

作用機序:
脳内で痛みを抑える神経の働きを高める作用があります。
もともとはうつ病のお薬ですが、うつ病の治療量よりもかなり少ない量で、片頭痛の予防や「緊張型頭痛」の改善に効果を発揮します。

効果:
頭痛の頻度を減らすほか、肩こりや不眠を伴う頭痛に効果的です。
連日で頭痛発作が出現する方や、薬物過多による頭痛の患者さんには非常に重要な役割を果たします。

注意点:
口の渇き、眠気、便秘などの副作用が出やすいため、ごく少量から始めて体を慣らしていきます。

最新の予防薬(CGRP関連薬)

片頭痛の痛みを引き起こす一番の原因物質とされる「CGRP」という物質の働きを直接ブロックする、画期的なお薬です。
従来の予防薬と比べて非常に高い効果が期待できます。

治療半年後の時点で約50%の患者さんにおいて片頭痛日数が50%減となり、約25%の患者さんにおいて片頭痛日数が75%減となり、約10%の患者さんにおいてほぼ片頭痛が出現しなくなるという研究データとなっております。
この成績は片頭痛治療においては画期的なデータであり、当院で施行している患者さんにおいても同様の成績となっております。

① 新世代の予防内服薬:ゲパント系薬剤(ナルティーク、アクイプタ)

作用機序:
痛みの原因物質(CGRP)が結合する「鍵穴(受容体)」を塞ぐことで、片頭痛の発生を元からブロックします。

効果:
1日1回(アクイプタ)または2日に1回(ナルティーク)、定期的に内服することで、注射薬に近い高い予防効果を発揮します。早い方では飲み始めて数日から数週間で効果を実感できます。

注意点:
飲み始めに吐き気や便秘、眠気を感じることがあります。
他のお薬(一部の抗生物質や血圧のお薬など)との飲み合わせに注意が必要な場合があるため、お薬手帳の確認が必須です。
従来のお薬に比べてお薬代が高額(3割負担で月に1万5千円程度)になります。

② 注射薬:CGRP関連抗体薬(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)

作用機序:
痛みの原因物質(CGRP)そのもの、あるいはその鍵穴(受容体)に強力に結合し、痛みのスイッチが入るのを防ぐ注射薬(皮下注射)です。現在、日本国内では3種類の薬剤が承認されています。

効果:
月に1回(お薬によっては3ヶ月に1回)の注射で済みます。「頭痛の回数が劇的に減った」「生活の質が大きく変わった」と実感される患者さんが非常に多い、強力な予防薬です。

注意点:
注射を打った部分が一時的に赤く腫れたり、痛みや痒みが出たりすることがあります(注射部位反応)。
また、最新のバイオ医薬品であるため、従来のお薬に比べてお薬代が高額(3割負担で月に約1万3千円〜1万5千円程度)になります。

「CGRPに直接作用して機能を低下させる薬剤」
① エムガルディ
② アジョビ

「CGRPと結合する部分をブロックする薬剤」
③ アイモビーグ
④ アクイプタ、ナルティーク

近年の研究では前者の薬剤の方が効果が高いとの意見があるため、当院ではエムガルディまたはアジョビを第一選択とし、アイモビーグ、アクイプタ、ナルティークを第二選択としております。

どの予防薬を選ぶべき?

「種類がたくさんあって、どれが自分に合うか分からない」とご不安に思うかもしれません。

当院の頭痛外来では、事前の問診や頭痛ダイアリーの記録をもとに、

* 月に何回くらい頭痛があるか
* 痛みの強さや、日常生活への影響度
* 現在治療中の他の病気(持病)はないか
* 妊娠・出産のご予定
* お薬の費用に関するご希望

これらをじっくりと伺った上で、あなたに最適な予防療法をご提案します。
「頭痛のない日常」を取り戻すために、ぜひ一度たけもと脳神経外科にご相談ください。