CGRP関連抗体薬|天白区の脳神経外科|たけもと脳神経外科

CGRP関連抗体薬 CGRP

片頭痛は「痛くなる前に防ぐ」時代へ
〜最新の予防薬(CGRP関連薬)のご紹介〜

頭痛が月に何度も起きて仕事や家事が手につかない、
痛み止めを飲む回数が増えて「薬物過多による頭痛」が心配…。

そんな方には、痛みが起きてから対処するのではなく、片頭痛そのものを起こりにくくする「予防療法」が推奨されます。

近年、片頭痛の痛みを引き起こす一番の原因物質「CGRP」の働きを直接ブロックする画期的なお薬が次々と登場し、治療の選択肢が大きく広がりました。

当院で処方可能な5種類の新しい予防薬(注射薬・内服薬)について、その特徴と確かな裏付けとなる治験データを交えて解説します。

1. CGRP関連抗体薬(注射薬)

月に1回(または数ヶ月に1回)の皮下注射で、強力に片頭痛を予防するお薬です。

エムガルティ(一般名:ガルカネズマブ)

特徴: 痛みの原因物質である「CGRP」そのものに直接結合し、悪さをしないように働きを抑え込みます。

用法: 初回のみ2本(240mg)、以降は1ヶ月間隔で1本(120mg)を皮下注射します。

治験・臨床データ:
EVOLVE試験(海外):
6ヶ月間(24週間)の治療期間を通じた平均で、月間の片頭痛日数が約4.7日減少(プラセボ群は約2.8日減少)し、さらに約62%の患者さんで頭痛日数が半分以下(50%以上改善)になるという非常に高い有効性が示されました。

アジョビ(一般名:フレマネズマブ)

特徴: エムガルティと同様に「CGRP」そのものに結合します。ライフスタイルに合わせて投与間隔(月1回か、3ヶ月に1回か)を選べるのが特徴です。

用法: 毎月1回(225mg)の注射、または通院負担を減らせる「3ヶ月に1回(675mg)のまとめ打ち」のどちらかを選択可能です。

治験・臨床データ:
反復性および慢性片頭痛の両方で確かなデータがあります。
HALO EM試験 / HALO CM試験:
どちらの試験も12週間(3ヶ月間)の治療期間において、反復性の患者さんで月間平均3.7日減少、治療が難しいとされる慢性の患者さんでも月間平均4.6日減少しました。また、両試験ともに初回投与の「1週目」という極めて早期から有意な頭痛日数の減少が確認されているのが強みです。

アイモビーグ(一般名:エレヌマブ)

特徴: CGRPそのものではなく、CGRPがくっつく「鍵穴(受容体)」側をブロックするお薬です。完全ヒト化抗体という技術で作られており、アレルギー反応などが起きにくいよう設計されています。

用法: 4週間に1回(70mg)を皮下注射します。

治験・臨床データ:
STRIVE試験(海外):
6ヶ月間(24週間)の治療を行い、その後半(4〜6ヶ月目)の評価において、月間片頭痛日数が約3.2〜3.7日減少し、約43〜50%の患者さんで頭痛日数が半減しました。

長期安全性:
海外ではすでに5年以上にわたる長期投与試験が行われており、長期間使い続けても重大な副作用が増加したり、お薬に対する抗体ができて効果が弱まったりしにくいことが実証されています。

2. 経口CGRP受容体拮抗薬:ゲパント系(内服薬)

注射が苦手な方や、ご自身のタイミングでお薬を飲みたい方に適した「飲み薬」タイプの最新予防薬です。

アクイプタ(一般名:アトゲパント)

特徴: 飲み薬でありながら、注射薬に匹敵する早期からの予防効果が期待できるお薬です。少量から体を慣らす必要(漸増)がなく、最初からしっかりとした効果を狙えます。

用法: 1日1回1錠を、毎日決まった時間に内服します。

治験・臨床データ:
ADVANCE試験(海外):
アクイプタ(60mg)を毎日内服したグループでは、12週間(3ヶ月間)の治療期間全体を通じて、月間片頭痛日数が平均4.2日減少(プラセボ群は2.5日減少)しました。また、内服開始の1週目から生活機能の改善が確認されています。

※服用時の注意点: マクロライド系抗生物質や一部の抗真菌薬(CYP3A4阻害薬)などと一緒に飲むと、お薬の血中濃度が上がりやすくなります。その場合は安全のために用量(内服量)の調整が必要になるため、他のお薬を飲まれる際はお薬手帳をご提示ください。

ナルティーク(一般名:リメゲパント)

特徴: 片頭痛発作が起きたときの「急性期治療(痛み止め)」と、痛みを起こりにくくする「発症抑制(予防)」の両方の目的で使える、新しいスタイルの飲み薬です。水なしでサッと溶けるOD錠のため外出先でも便利です。

用法(予防目的): 予防薬として使用する場合は、「1日おき(隔日)」に1錠を内服します。

治験・臨床データ:
予防投与の臨床試験:
予防薬として隔日で12週間(3ヶ月間)服用を続けた結果、効果が安定する最終月(9〜12週目)の評価において、月間の片頭痛日数がベースラインから平均約4.3日減少したことが報告されています。

高い安全性: 最長52週間にわたる長期投与試験においても、お薬の飲みすぎによる「薬物過多による頭痛(MOH)」の発生は報告されておらず、長期間でも安全に継続しやすいことが大きな利点です。

どの予防薬を選ぶべき?
~各薬剤の作用点の違い~

「種類がたくさんあって、どれが自分に合うか分からない」とご不安に思うかもしれません。注射薬と内服薬、それぞれにデータに裏打ちされた確かな強みがあります。

上記のCGRP関連薬は薬剤の作用する点によって、2つの種類に分類されます。

「抗CGRP抗体薬」

CGRPに直接作用して機能を低下させる薬剤
:CGRPに薬剤が結合することにより、CGRPの本来の機能を阻害し痛みが伝わらないようにする

① エムガルディ
② アジョビ

「CGRP受容体抗体薬」

CGRPと結合する部分をブロックする薬剤
:CGRP受容体に抗体が結合し、CGRPが受容体に結合できなくさせ痛みが伝わらないようにする

③ アイモビーグ
④ アクイプタ、ナルティーク

当院の考え方

近年の研究では前者の薬剤(抗CGRP抗体薬)の方が、「日常生活の支障度の改善」において効果が高いとの意見があるため、当院ではエムガルディまたはアジョビを第一選択とし、状況に応じてアイモビーグ、アクイプタ、ナルティークを第二選択としております。

ただし、実際の薬剤の選択は患者さんご自身のご希望に合わせております。

当院の頭痛外来では、患者さんの頭痛の頻度、日常生活への影響度、通院可能なペース、そして費用面などを総合的に考慮し、ご相談の上で最適な治療プランをご提案します。「頭痛のない日常」を取り戻すために、ぜひ一度たけもと脳神経外科にご相談ください。